「ファンならマスト。」という文句にどれだけの意味があるのか不明です。だってファンなら新作買うのは当然だし。しかし、彼を知らない人が興味を持ってくれたら、と思います。だって、案の定の傑作なんですから!というのは…
先述したように今年の1月末、ウプサラの彼の自宅を訪れたのですが、その時製作途中だったこの作品を、彼のスタジオChickenhouseで聴かせていただいたのです。その様子を書いておこうと思いました。スタジオには半日ほどお邪魔して2人きり、拙い英語で必死で話をしたわけですが、ここでは新作の話に絞って、記憶を頼りにレポートしたいと思います。
Chickenhouseに入った私は言いました。「ここにかつて、何度か来ましたよ。夢の中で。」本当のことです。ラーシュは「そして今、君は本当にいるわけだ」と言って、満面の笑みを返してくれました。当然だけど、事前のイメージとはやや違う。ログハウスの壁から天井まで、数限りないメモラビリアが貼り付けられ、窓際や壁際にはマンドリンとかカリンバとかの手持ち楽器が数知れず。メインコンソールはMac、その横にキーボード。革貼りの低いソファーで、彼が作ってくれたサンドイッチとコーヒーをいただきながら、いきなり新作の音源を聴かされました。Macと繋がった大きなスピーカーは、底部に詰め込まれたスポンジも露わだけど、すごくいい音。なにしろスタジオも自分で建築しちゃう人です、これもハンドメイドなんだろうな。
製作途中の新作をPCの画面で操作しながら、「今トータルで43分だ。もう1〜2曲加えようと思っている。」以前から彼のソロ作は、録り溜めてきたアイテムの発表と録り降ろしの2パターンがあると思っていたけど、今回は後者みたい。以下、メモを取れなかったので、曲名は一部を除いて不確かですが、どうかご容赦ください。というか、聴けばわかるさ!
* L「メロトロンサウンドを使ったんだ。どうだい?」
私「え、メロトロン嫌いだったんじゃ?」
L「いやいや、サウンドはメランコリックで好きだよ」
どうやら生メロトロンの操作のやっかいさがお嫌いなようです。サンプラーならOKか。これがタイトル曲、Viandra。アコーディオンとメロトロンのみのシンプルな絡みですが、彼の本流とも言うべき、安らぎに満ちたメロディー。アコーディオンはタメにタメたリズムで奏でられます。サムラでのツッコミとは対照的で、ノリを使い分けてるのか?いや、きっと天然なんだろうと思うのですが。
* L「サンチャゴのソロはアドリブなんだよ。いいだろ、彼!」
10年前のソロ「アンデターク」以来の付き合いになるヴァイオリン、Santiago Jiminez。彼には全幅の信頼を置いているようです。曲に沿った、美しいソロです。しかし一方で、向島ゆり子さんのヴァイオリンについても、彼は何度も熱く語っていました。あれはもう、共演者としてどうこうじゃない、単なるファンなのでは…
* L「これどうだい、ホッ、ホッ、ホッ、」
とか言いながら踊り始めて、いや、飛び跳ね始めてしまう彼、というか私も。ダンサブルと言って語弊があるようなら、ジャンプしたくなるような曲。これも彼のソロなら、欠かせないね。
* L「昔の映画みたいだろ?」
うん、モノクロ時代の映画のサントラみたい。彼はやっぱり、リアリストを気取ってみても、結局ロマンチストなんだな…
ここで一旦切ります。続きはまた。

